Home > ダウンロード違法化 > ダウンロード違法化の問題点1 : 他の権利制限規定との兼ね合い

ダウンロード違法化の問題点1 : 他の権利制限規定との兼ね合い

著作権法では、著作権者に複製権その他、他者が利用するにあたって許可を必要とする権利を与えていますが、その一方で、許可が無くても利用することができるとする「権利の制限」規定を設けています(著作権法第30条 – 第50条)。よく知られているものとしては「引用(第32条)」「営利を目的としない上演等(第38条)」、普段なかなか見かけないものとしては「教科用拡大図書等の作成のための複製等(第33条の2)」「放送事業者等による一時的固定(第44条)」などがあります。私的使用のための複製もこの第30条で定められています。

第三十条  著作権の目的となつている著作物(以下この款において単に「著作物」という。)は、個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内において使用すること(以下「私的使用」という。)を目的とするときは、次に掲げる場合を除き、その使用する者が複製することができる。(以下略)

さて、これらの制限規定は、すべて複製元が違法に複製されたか否かを問題にしてきませんでした。たとえば、報道番組で事件現場から放送をしたとします。そのときに現場で近くの店から音楽が流れてきていたとして、その音楽が違法コピーかどうかは関係なく、この放送は「時事の事件の報道のための利用(第41条)」として認められます。このように定められているのは、「元々が違法かどうかを確かめていたら、結局その確認のために許可を取るのと同じくらいの手間がかかって、自由に使えると規定した意味がない」というような事情が考えられます。

ところが、今回のダウンロード違法化では、違法に録音録画したものから私的使用のための複製をすることは、第30条の規定の対象から外すという趣旨の法改正が行なわれます。これが行なわれると、これまでは、上記の条文に当てはまる複製だったら、ほかのことを全く確認してもよかったのが、改正後は逆に違法でないかをすべての条文にわたって検証しないと、私的複製は出来なくなることになります。事実上、http://law.e-gov.go.jp/cgi-bin/idxselect.cgi?IDX_OPT=1&H_NAME=%92%98%8d%ec%8c%a0%96%40&H_NAME_YOMI=%82%a0&H_NO_GENGO=H&H_NO_YEAR=&H_NO_TYPE=2&H_NO_NO=&H_FILE_NAME=S45HO048&H_RYAKU=1&H_CTG=1&H_YOMI_GUN=1&H_CTG_GUN=1“>著作権法の全条文に精通していないと、私的複製をした結果違法とされてしまう可能性は振り払えません。

この結果起こりうるのは、著作権法上認められた権利であるはずの私的使用のための複製が、「もしかしたら違法かもしれない」と過度に萎縮することによって、無実化してしまうことです。

また、ほかの制限規定が「条件に当てはまればほかは関係なくOK」なのに対して、「条件に当てはまっても複製元が違法かどうか確認できないとNG」という新たなタイプの制限規定を作ることになります。このような法制度上の大転換を導く法改正にあたって、法制上の検討が充分であるかどうかについても疑問が残ります。

Comments:0

Comment Form
Remember personal info

Trackbacks:1

Trackback URL for this entry
http://jillesa.net/blog/2008/12/fault-of-illegalizing-1/trackback/
Listed below are links to weblogs that reference
ダウンロード違法化の問題点1 : 他の権利制限規定との兼ね合い from JILLESA
trackback from JILLESA 08-12-28 (日) 10:35

ダウンロード違法化の問題点1-1 : 「情を知って」の「情」とは何か

ダウンロード違法化の「情を知って」という文言は「この行為が違法になるとは知りませんでした」という言い訳を許すものではない。どのようにして複製元が作られたかという事情を知…

Home > ダウンロード違法化 > ダウンロード違法化の問題点1 : 他の権利制限規定との兼ね合い

Search
Feeds
Meta

Return to page top