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「あなたは違法なダウンロードをしている」と指摘されたときに

来年1月以降、誰かに「あなたは違法なダウンロードをしていますね?」と問いかけられたら、どのように疑いを晴らしたらいいでしょうか。

2007年12月にMIAUが行ったシンポジウムの中で、弁護士の小倉秀夫氏は次のような趣旨のことを述べました。1

http://d.hatena.ne.jp/illegal-site/20071226/p1” title=”緊急シンポジウム「ダウンロード違法化の是非を問う」の様子”>

また、ダウンロードが違法化されたときに、実際にはどのように取り締まることになるか。(中略)違法にダウンロードしていそうなユーザーの家に行って、民事訴訟前の証拠保全手続としてハードディスクの内容をすべてコピーするようなことになる。当然、ハードディスクには個人的な内容もたくさん入っている。ダウンロードが違法化されれば、権利者に対してわたしたちのプライバシーがゼロになるということになってしまう。「そんなプライバシーを暴くようなことはしない」というのであれば違法なダウンロードを実際に取り締まることはできず、法改正した意味が無くなってしまう。また、「しない」と権利者が言ったとしても、それを信じる理由がない。

仮に、権利者の許諾無きダウンロードの違法化が、刑事罰を伴うものであったならば、かえって白黒はつきやすくなります。刑事裁判の手続の流れに乗るのであれば、裁判所による事実認定が、最終的な決着となるでしょう。しかし、改正予定の著作権法では、権利者の許諾無きダウンロードには刑事罰はありませんので、刑事裁判にはなり得ません。あり得るのは民事裁判のみです。ここで民事裁判を提起できるのはこれによって権利を侵害された権利者に限られるので、それに限らない第三者がある人を指して「あの人は違法なダウンロードをしている」と指摘した場合、それに抗する方法はほとんどありません。これが一般に「無いことを証明する」ものであるからです2。上記小倉氏の発言要旨のように、証拠保全手続により訴えた相手方に開示するのも屈辱的ですが、第三者に指摘されたとしたら、そのように疑いを晴らす方法もなく、指摘が事実であったとしてもなかったとしても、ただ不名誉のみが本人について回ることになります。


さて、高木浩光氏によるhttp://takagi-hiromitsu.jp/diary/20090830.html#p01” title=”高木浩光@自宅の日記”>ダウンロード違法化反対家の知られるべき実像というエントリが話題を呼んでいます。

まず、

「高木浩光氏が指摘しているのは私のことではありませんが、」と前置きするつもりはありません。ダウンロード違法化に反対している人、というのは比較的少数ですから、みんなが口々に「私ではない」と発言すれば、やがて誰かをいたたまれなくさせるはずです。だから、そうは言いません。高木浩光氏が指摘しているのは、私のことかもしれません。

IPアドレスその他の情報を追跡することにより、このような事実を調査することの是非

はてなブックマークでは「盗聴」という声がいくつかありましたが、私はそうは思いません。インターネットに接続する際に公開される情報は、本人が自らの意志で公開したものであり、ウェブサイト開設者など、情報を得られる立場にある者は、アクセス解析、掲示板におけるIPアドレスの表示など、それを自由に加工することが、一般に認められていると思います3。今回の情報も、高木氏がその人のIPアドレスを知った「あるきっかけ」が不当なものでなければ、高木氏が非難されるいわれは全くないと思います。ただ、仮にこのように個人と照合できるIPアドレスの情報が5,000件以上あるのなら、個人情報保護法に基づく取り扱いをお願いしたいと考えるだけです。

「許諾を受けていない著作物のダウンロード」と「児童ポルノのダウンロード」の類似性

改正前の現行著作権法と、現行の児童売春・児童ポルノ等禁止法では、ともに「渡す方は違法、受け取る側は違法でない」というところに類似性があります。著作権法では、権利者の許諾を受けていない著作物をアップロードすることは送信可能化権を侵害するので違法であり、刑事罰の対象にもなり得ますが、それをダウンロードする行為は私的複製の範囲であり、違法ではありません。同様に、現行の児童売春・児童ポルノ等禁止法では、児童ポルノの提供は罪になりますが、それを取得することは罪にはなりません。
高木氏のエントリは、この類似性に着目した上で、違法にアップロードされた著作物をダウンロードすることを違法化することに反対している者が、違法に提供された著作物を受け取ろうともしている、と指摘したいのだと私は考えました。付随して「ダウンロード違法化に反対する者はみな児童ポルノ収集家だ!」という印象を与えたいと考えたものなのかどうかは分かりませんでした。仮にそうだとしても、そのような議論は成り立たないことは明らかです。

目的を語らずに行動を行ってはならないか

ある目標に向かって行動するときには、必ず目的を語らなければならないものでしょうか。高木氏はhttp://takagi-hiromitsu.jp/diary/20090830.html#p01“>ダウンロードしたいから反対する、児童ポルノを持ち続けたいから反対するのであれば、正直にそれを明かした上で意見を述べるべきではないだろうか。と書いていますが、私はそうは思いません。ある結果を求めるときに、それを求める動機は人それぞれであったりします。それでも、求めるものが同じであれば、人は団結することができます。目的を明らかにすると、場合によってはその目的を巡って内部に齟齬が生じ、団結できないことが起こりえます。ある運動を起こし、結果を求めようとするならば、なるべく多くの人が団結できるように、主張はみんながまとまれる最低限のものにするべきです。ダウンロード違法化に反対する論点は、主要なものでも4つあることをhttp://jillesa.net/blog/2008/12/4-aspects-against-illegalizing/http://jillesa.net/blog/2008/12/4-aspects-against-illegalizing/>かつて示しました。もし、この4つの立場がそれぞれ独立に動くのでは、同じ結果を求めているのに、その運動の力は弱まってしまうでしょう。
だから、私は目的を語らずに行動してはならないとは考えません4

その他、些末なこと

しかし「反対家」という表現はどうにもすわりが悪いように思います。「反対活動家」「反対運動家」という表現に私は特にネガティブな意識を感じませんが、「活動家」「運動家」に拒否反応を示す層というのは確かにいそうで、それに配慮したというのならせめて「反対論者」などと言っていただけなかったものでしょうか5

  1. JILLESAによる当日の内容の紹介に基づくので、発言の詳細は正確ではない。 []
  2. 俗にhttp://ja.wikipedia.org/wiki/悪魔の証明” title=”Wikipedia”>悪魔の証明と呼ばれますが、語の持つ力が強すぎるきらいがあるので今回は用いません。 []
  3. 私が最も共感するのはhttp://deztec.jp/design/info.html#accesslog” title=”趣味のWebデザイン”>趣味のWebデザインの注意書き []
  4. 「単純所持宣言」を発表して児童売春・児童ポルノ等禁止法の改正に反対した白田秀彰氏はすごいと感心しますが、すべての人にそれだけのことを求めるべきとは思いません。白田先生の場合、児童ポルノを所持し続けることが目的ではありませんが。 []
  5. あるいは、「反対するだけで活動も運動も、何の論陣も張っていやしない」という高木氏の主張が暗に込められているのかもしれない []

Comments:1

あのね 09-12-21 (月) 5:26

>インターネットに接続する際に公開される情報は、本人が自らの意志で公開したものであり、

まずこれが間違い。
ポートスキャンや監視は盗聴ですよ。
通常はクラッキングの事前準備でやります。
パケットのダンプも同じです。
ぶっちゃけIPアドレスと開放ポートの一覧でも手に入ればPCに侵入できます。
そのポートで使用されているアプリケーションもパケットの監視である程度特定できます。
そしてそのアプリケーションの脆弱性を突く。
これがPCに侵入する一連の流れです。
ポートスキャンや監視が許されるのなら世の中プライバシーもクソもないってもんです。

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