不当啓発撲滅キャンペーン
著作権法には、権利者の意向にかかわらず、利用者が著作物を利用できるよう定められた利用法があります。著作権を守ろうとするあまり、これらの利用法を「やってはいけない」などと啓発・宣伝することはやめましょう。
著作権法上認められている行為について「処罰される」などと虚偽の説明をし、結果として財産上不法の利益を得た場合、刑法上の罪に問われる可能性があります。
例えば、次のような行為は著作権法上合法です。
- レンタルした(コピーガードのない)音楽CDをCD-Rに複製したり、コンピュータに取り込んだりして、返却後も利用する行為
- コンピュータソフトウェアのバックアップを、原製品を保有したまま取っておく行為
- 街角の建物を写真に撮り、無料で閲覧できるブログで公開する行為
著作者・実演家・権利者の皆さんへ
自らが作った著作物や実演について、こういう風に使ってほしいという思いを持つのは自然なことです。しかし、思いが高じるあまり、自らが指図する権利のないことまで他人に強要してはいけません。もちろん、お願いするのは自由です。しかし、それはあくまで著作者と利用者が対等な関係に立った上でのお願いです。著作権法上利用者が自由に行なえることを制限しようというときには、何ら法律的な後ろ盾があってのことではないことに留意しましょう。
著作者・実演家から著作権などを譲渡・信託された権利者団体では、啓発キャンペーンを実施する際に、著作権法上認められた複製や利用までも「やってはいけない」としていないか確認しましょう。また、権利者団体は多くの著作者の権利を譲り受けていますが、権利者団体が権利を有していない著作権もたくさんあります。その中には、自らの作品を、無断でいいからどんどんコピーしてほしい、と願っている著作者も少数ながらいます。すべての著作者・実演家があらゆるコピーを拒否しているかのような発言のしかたをしていないか、留意しましょう。
利用者の皆さんへ
著作権法上認められた利用法までも、利用者が萎縮して行なわなくなることは、それらの利用法が文化の発展に資すると考えた著作権法の精神をゆがめてしまう行為です。著作者・実演家がこれらの行為をしないでほしいと伝えるのはあくまで「お願い」としてとらえ、その上で、法律上認められた利用法をあえて放棄するのか、それともそれらの利用法を活用するのかを考えるようにしましょう。
著作権法上、権利者の許諾なく行なうことができる行為
- (著作物でないものを利用する。)
- (保護期間を経過した著作物を利用する。)
- 個人的にまたは家庭内などの限られた範囲内で利用するために複製・翻訳・編曲・変形・翻案する(例外あり)。
- 図書館などで非営利に、調査研究のために複製・翻訳したり、資料の保存のため、または入手困難な資料を複製したりする。
- 公正な慣行に合致し、目的上正当な範囲内で引用・翻訳する。
- 国や地方公共団体などが作成した広報資料などを転載する(例外あり)。
- 文部省検定教科書に収録するするために複製・翻訳・編曲・変形・翻案する。
- 教科書を、弱視の児童生徒のために拡大した複製を作る。
- 学校教育番組として放送・翻訳・編曲・変形・翻案する。
- 学校教育の一環として、授業で使用するために必要な範囲を複製・翻訳・編曲・変形・翻案する(例外あり)。
- 試験問題にするために複製・翻訳する(例外あり)。
- 点字に複製・翻訳したり、電子的に記録したり、コンピュータネットワークで送信したりする。
- 点字図書館などが、視覚障害者向けに録音する。
- 聴覚障害者のための団体などが、放送を聴覚障害者が理解できるように音声を文字に直してコンピュータネットワークにアップロードする。
- 非営利目的で、一切の料金を徴収しない場合に、ボランティアで上演・演奏・上映・口述する。
- 非営利目的で、一切の料金を徴収しない場合に、放送を有線放送する。
- 非営利目的で、一切の料金を徴収しない場合に、映画以外の著作物を人に貸す。
- 図書館などで非営利に、映画を人に貸す。
- 新聞や雑誌に掲載された時事問題に関する意見・論説を、ほかの新聞・雑誌に(翻訳して)転載したり、テレビやラジオで(翻訳して)放送したりする(例外あり)。
- 公開の場で行なわれた政治上の演説を利用する(例外あり)。
- 国や地方公共団体などで行なわれた公開の演説を、新聞・雑誌に(翻訳して)掲載したり、テレビやラジオで(翻訳して)放送したりする。
- 事件の報道のために、事件を構成する著作物や、事件の過程において不可避的に接する著作物を複製・翻訳したり利用したりする。
- 裁判手続のために、あるいは立法・行政の目的のための内部資料として必要な場合に著作物を複製・翻訳する。(例外あり)
- 特許・意匠・商標の審査、実用新案の技術的な評価、国際出願の調査・予備審査のために複製・翻訳する(例外あり)。
- 新薬や新しい医療機器の審査・調査・報告などのために複製・翻訳する(例外あり)。
- 国や地方公共団体などが、情報公開のために著作物の一部を(翻訳して)利用する。
- 放送局が、自分が放送する番組を一時的に録音・録画し、最後の放送から6か月以内の範囲で保存する(例外あり)。
- 美術作品の所有者が、それを多くの人に見せるために展示する(例外あり)。
- 美術品の展覧会などの主催者が、作品の解説や紹介をするために作るパンフレットにそれらの美術品を掲載する。
- コンピュータプログラムの所有者が、プログラムを使用するために自分のコンピュータに複製したり、自分のコンピュータで使えるようにカスタマイズしたりする。
- 屋外に恒常的に設置されている美術作品や建築物を利用する(例外あり)。
- 保守や修理のために、ハードディスクなどの記録媒体の内部にあるデータを一時的の他の媒体に記録させ、終了後に元に戻す。
このキャンペーンについて
このキャンペーンは、著作権法に対する正しい理解を広めるために日本違法サイト協会が実施するものです。
このキャンペーンのページにおける著作権法その他の解説は、2008年2月現在の法令に基づき、日本違法サイト協会が細心の注意を持って記述していますが、万全の保証をするものではありません。
当キャンペーンへのお問い合わせは、お問い合わせのページにある各方法でお願いします。
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- 「不当啓発撲滅」
- 「他人の権利、不当に制限してませんか?」