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違法サイトとは

概要

著作権法に基づく私的録音録画補償金制度を見直した結果、私的複製の範囲が変更されようとしています。権利者に無断で著作物等をインターネット上に公開したことがあるサイトは、今後「違法サイト」とみなされ、これを閲覧した結果著作権を侵害した場合、違法になります。

著作権法と私的複製、私的録音録画補償金制度

著作権法は、「著作物(……)に関し著作者の権利(……)を定め、これらの文化的所産の公正な利用に留意しつつ、著作者等の権利の保護を図り、もつて文化の発展に寄与すること」を目的としています(著作権法第1条)。これに基づき、著作物を作成した著作者に著作権を付与し、著作物の利用について著作者が正当に対価や名声を受ける権利を保障し、また著作権によって社会生活や文化の発展が脅かされることのないように、権利の制限を定めています。

著作権法第30条では、権利の制限のひとつとして、個人や家庭などで使うために著作物を複製することは原則自由と定めています。このような複製を私的複製といいます。自分や家族が買った本をコピーしたり、テレビ放送を録画したり、友人やレンタルCD店から借りた音楽CDをPCに取り込んだりするのは、この規定により合法とされています。

しかし、著作権法の成立以降、ラジカセ、MD、CD-R、コンピュータなど、技術の発達により家庭内で複製をできる機械が多数登場するようになりました。このような状況では、複製が著作者の利益を脅かし、公正な利用が見込まれないことが予想されます。そこで、その代替措置として、複製ができる機械(MDラジカセやDVDレコーダーなど)や媒体(MDやDVD-Rなど)に対して一定の補償金を上乗せし、それをある団体が集め、著作者に分配する制度が1992年に導入されました。これを私的録音録画補償金制度といい、著作権法第30条第2項に定められています。

補償金制度の発足以来、デジタルな記録ができる機械や媒体には補償金が上乗せされ、各メーカーがそれを管理団体と呼ばれる2つの社団法人に支払い、法人はそれらを、コピーされたCDやDVDやテレビ放送の著作権者などに分配しています。といっても、家庭内で何が何回コピーされたかというのは調べられませんので、分配される額は推測に基づきます。また、それだと不公平が生じますので、その解消策として、補償金の一定割合は文化の発展のための活動に使うことになっています。

文化審議会著作権分科会私的録音録画小委員会

著作権制度については、そのあり方を有識者が検討する審議会が設けられています。2001年までは著作権審議会、2001年からは文化審議会著作権分科会がそれにあたります。

1992年の制度開始以来、補償金制度についてはいろいろな検討がされました。制度発足当時には普及していなかったCD-RやDVD-Rなどを対象に加えたり、2005年にはハードディスクも対象に加えるべきでないかという検討がされた結果、見送られたりしました。

そのハードディスクについての議論の中で、制度発足から13年(当時)が経過した補償金制度について、見直しをするべきでないかという議論が出され、補償金制度について専門的に話し合う機関が創設されました。それが私的録音録画小委員会です。2006年から今まで、20回以上の会合が行なわれています。参加しているのは、まず著作権についての研究者。録音関係では、レコード会社団体の人、作詞家作曲家団体の人。録画関係ではテレビ局の人、映画制作者協会の人。さらに、コピーができる機械を製造販売している団体の人。それに加えて消費者団体の代表とITジャーナリストの人を加えた20名弱です。

この中では、私的録音録画補償金制度について話し合われることになっていました。私的録音録画補償金制度は著作権法第30条第2項に定められていますから、議論は第2項についてが主となるはずです。ところが、小委員会の議論では、私的録音録画を越えて、私的複製の範囲を変える議論が行なわれるようになりました。その結果、従来適法であった私的複製の範囲の一部がこれからは違法になることが見込まれています。

違法サイト

違法とされるもののひとつに、「違法サイトからのダウンロード」が挙げられます。著作物を著作者や権利者(著作者が著作権を譲り渡した人。出版社やレコード会社やテレビ局)に無断でアップロードしているサイトが、インターネット上には存在します。そういった行為は当然違法であり、これまで多数のサイトが摘発されています。しかし、こういったサイトからファイルをダウンロードするのは、著作権法第30条の私的複製となるので、違法ではありませんでした。

ところが、先述の小委員会での議論では、このダウンロードを私的複製の範囲から除外する、つまり、違法とすることが検討されています。

違法サイトから身を守るために

ダウンロードといっても、インターネットでウェブサイトを閲覧する場合、サイトを開いた瞬間に著作物は表示されます。表示するためにコンピュータはサイトから著作物を受信していますから、この時点でダウンロードは成立しています。つまり、これが違法とされると、わたしたちは、いつ何どき違法行為に手を染めるか分からない状況に陥ります。

小委員会では、「情を知って」「違法サイトから」ダウンロードをすることを違法とする方向で議論が進んでいます。「情を知って」とは、そのサイトが無断で他人の音楽や映像を公開していることを知っていながら行なう、ということです。普段違法サイトでないサイトがある日突然違法サイトになって、それをたまたま見てしまったとしても、違法とはみなさない、ということです。逆に言えば、「あのサイトには違法な音楽や映像がある」という評判があることを知っていながらそのサイトを開くことは、違法にみなされる可能性があるのです。小委員会のとおりに法律が改正されたら、そのような評判があるサイトには近づかないことが賢明です。

当協会における「違法サイト」の定義

文化庁が2007年11月に発表した「私的録音録画小委員会中間整理」の定義である「権利者に無断で著作物等が送信可能化されたサイトや個人のパソコン」という文言を解釈した結果、当協会では過去に著作権侵害を行なったことがあるサイトを違法サイトと認定します。過去に著作権侵害を行なっていたことは風評や報道によって明らかになっていますので、これらサイトを面白半分に見に行くことは「情を知って」に相当すると考えるからです。